コラム

チームスカイを巡るスポンサー問題について

自転車ロードレースは「スポンサー」の影響力が強い競技の1つです。サッカーや野球のようにスタジアムを使用する競技とは異なり、一般公道を使用し、観客が沿道に集まるという形態を取るため、チケット収入が見込めず、どうしてもスポンサーの資金に頼らざるを得ないことが理由として挙げられます。
そのため、スポンサーの事情によって、チームが突然解体したり、チーム名が変更されることも珍しくありません。
そして、それはしばしば競技の成績とは、関係なく生じることもあります。2018年12月に発表された「チームスカイ」のスポンサー撤退の報道は、世界中にショックを与えました。
チームスカイとして最後のシーズンとなる2019年、このスポンサー問題が現在どうなっているのか詳しくまとめていきます。

突然発表されたチームスカイのスポンサー撤退

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2018年12月、自転車ロードレース界を驚嘆させるニュースが舞い込んできました。イギリスが誇る最強チーム「チームスカイ」のメインスポンサー「スカイグループ」が、2019年12月31日で、スポンサーから撤退するというメッセージが発表されたのです。
チームスカイといえば、2009年に創設され、圧倒的な資金力と豊富な戦力を武器に現在まで圧倒的な成績を収めてきたチームでもあります。
世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」では、ブラッドリー・ウィギンス(2012年)、クリス・フルーム(2013年、2015年、2016年、2017年)、ゲランと・トーマス(2018年)、といった3人のチャンピオンを輩出してきました。
クリス・フルームは、2017年にブエルタ・ア・エスパーニャ、2018年にジロ・デ・イタリアも制するなど、2010年代に比類なき結果を残してきました。
チームスカイがもたらした影響は非常に大きく、イギリスの自転車文化に多大な貢献をしてきました。そんな無敵のチームでも、スポンサーが撤退するということが、業界に衝撃を与えています。

出入りの激しい自転車ロードレース業界

自転車ロードレースという競技の収益形態上、スポンサーの影響力が大きくなることは避けられません。スタジアムスポーツのようにチケット収入が見込めるわけでもなく、チームの収益の大部分が放映権とスポンサー収入に依存している状況でもあります。
そのため、スポンサーの経営状況によっては、あっさりとチームが失くなってしまうものでもあります。これまで数々のチームが結成と解散を繰り返してきました。自転車の本場はヨーロッパではありますが、最近では「バーレーン・メリダ」や「UAEエミレーツ」など中東系のチームの参入も目立つなど、ポジティブな話題もたくさんあったのですが、それでもチームスカイのスポンサー撤退は衝撃的でした。
スポンサー撤退の理由として報じられているのは、スカイグループの経営状況にあると指摘されています。2018年10月にスカイグループは、アメリカのメディア企業「コムキャスト」に買収され、経営陣が再編成されたばかりです。
また、インターネット動画配信企業の成長などから、スカイグループの経営判断として、巨額の資金力を要するチームスカイが切り離された結果となったと推測されています。
強いだけでは生き残れない、自転車ロードレース界のシビアな側面が表れた出来事でもありました。

新スポンサー獲得で何とかチーム存続へ

スポンサー撤退が発表されてから注目されたのは、今後のチームの動向です。クリス・フルームやゲラント・トーマスといったチャンピオンを抱えるだけに、チームが解体するのか、存続するのかで、勢力図が大きく変わってもきます。 そんな中、2019年3月19日、明るいニュースが舞い込んできました。イギリスの大手化学メーカーでもある「イネオス」が、新たなメインスポンサーとして契約を結んだことを発表しました。

これによって、チームスカイのベースは存続させたまま、スポンサーだけが変わるという、チームにとっては最善の結果ともなりました。 チームスカイは「チームイネオス」として再出発を果たします。「チームイネオス」としてのデビューは、2019年5月にイギリスで開催される「ツール・ド・ヨークシャー」に決定しました。この発表には、チームの中核を担うクリス・フルームやゲラント・トーマスも自身のTwitterで喜びの声を伝えています。

「選手やスタッフとして、2020年以降も一緒に続けられることがとてもうれしい」「チームイネオスとして今後も成功を収めるのが楽しみだ。この特別なグループがこれからも一緒にいられるよう尽力してくれた方々に大きな感謝を」

「チームの継続と、今まで通り一緒にいられることがすごくうれしい。ありがとうスカイ、よろしくイネオス」 2018年、業界に激震が走ったチームスカイのスポンサー撤退発表でしたが、何とかチームが存続する形で解決され、ファンも一安心といったところでしょう。

まとめ

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チームスカイのスポンサー撤退から、新スポンサーの獲得、「チームイネオス」としての再出発までをまとめていきました。トップチームであっても、こういったことがよくある自転車ロードレース業界、チームの収益形態という課題が改めて浮き彫りになった出来事になりました。

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